学名カルカリドン・カルカリアスに挑戦 ”ホホジロザメ”又の名は ”マンイーター” ”猛化ザメ”とも言う

  • 2018
    12/16(日)
       記載者:社長



  • 学名カルカリドン・カルカリアスに挑戦 ”ホホジロザメ”又の名は ”マンイーター” ”猛化ザメ”とも言う


     2018年11月23日
    まだ明けやらぬ暗い空、朝5時、荷捌き場に明かりが灯る。

    一人又一人と10分位の間に船長以下乗り子が揃う。
    今日も船頭から注意事項を聞いた後、それぞれの持ち場に着く。

    氷を粉砕するけたたましい音。砕けた氷を大きな網袋に入れフォークリフトで本船迄運ぶ。
    本船のクレーンで3度積み込む。

    積み込みが終わり、本船の各ポジションに付いた乗り子を船頭が確認すると共に、警笛一斉、出港をする。

    ここまでは出港する前の何時もと変わらぬパターンである。

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    出港して沖を見ながら、東にある低層網か西の定置網かどちらに向かうのかは船頭が決めるが、東の空が薄明るくなった頃、あらかたは前もって沖の定置網を見ながら潮の流れ具合等での判断をしている。

    今日は西の定置網からの操業に決まった様だ。既に本船は西の定置網ちかくまで近づいている。私は今日の日の出のブログをフェイスブックに入れようと事務所に戻った。

    頂いた煎れたてのヨーロピアン。
    ブレンドの香ばしい香りとコクの有る味わい。一口含むと旨さが広がるコーヒーを味わいながらパソコンの前で準備をした。

    沖から一番に定置網の船頭より連絡が入る。
    デッカイサメが裏網に回って様子が分からないとのことだ。

    このまま続けて網は締めるが、後で様子を確認してほしいとの依頼。
    「多分タイガーかアオザメのデカイのだと思う」と言う。
    此処までが朝の船頭からの会話だ。
    此の日の西網の水揚げは、大きなオキサワラ【1,2m以上で平均15キロ】【波左間ではホテと呼んでいる】が50本以上も水揚げされた。いままで40年以上の長い間に一日に5本以上漁獲されたのを見た事が無い。
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    一瞬、嫌な感じがして来る。
    しかし、その他の、カンパチ・ススギ・ヤガラ・タカベ・アジ・ソーダガツオ等の色取り取りの魚達を見ていると嫌な気持ちが何時しか吹き飛んでしまう。

    船頭と話しながら
    「沖に行って潜って来るのは
     ガイドが終わった後だ」
    「15時頃になるかな」 
    「調査が終わったら電話で連絡するよ」
    と船頭に軽い気持ちで引き受けた。

    私は3回目のガイドも無事終わり、休憩もそこそこに単身急いで潜水機材を積み込み、デジカメを持って沖の定置、西網へと向かった。
                  
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     時間は15時30分頃到着。
    潜る前に船上で「どういうふうに捜索すれば一番良いか」自分でよく考える。
    大量のオキサワラ【ホテ】が追い詰められて定置網に逃げ込んだのだ。

    「得体の知れない何かがいる。
       一体どんな奴か早く見てみたいな」

    「デカイサメとはアオザメかタイガーだろう。充分に神経を張り詰め出来るだけ全身をサラケ出さない様にする為に網なりに沿って網底を這って行こう」

    潜る前からボートの上で私の全身に悪寒が走り冷や汗でベトベトだ。私は浅い金庫網の入り口から、徐々に傾斜がきつくなる箱網の底スレスレに這いつくばりながら、前方上方左右を見ながらジグザグに潜降して行った。

    さっき網を絞ったばかりで漁獲後間もないので、まだ魚も入ってきていない。そのせいもあってか、だだっ広く感じる箱網の中を進み海底に着底。網なりに前進すると薄っすらと裏網のジョウゴが見えて来た。私は海底近くで全神経を使いながら前後左右上方を見ながら進む。

    「今が一番緊張する時だ。何時、何処で出くわすか分からない」

    やがてジョウゴの真下迄来た。ジョウゴの奥は未だ先だ。
    私はその場所で全神経を集中して待つ。勿論這いつくばり、前後・左右、上方を念入りに確認。
    唯一下方は安全だ。

    【又背筋に悪寒が走り冷や汗を出している様だ】「早く相手を見つけてしまえばある程度気持ちが楽になる。相手が見えない程怖いものは無い。此の恐怖と戦うのも自分の正念場だと思っている。早く出て来てくれ、早く。早く来い。」

    ふと前上方を見ると、イサキの小群れが右舷側を横切って行く。
    その後ろから、とうとう奴が見えて来た。
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    DSCN0432_Moment4.jpg真っ白な腹とブルー色に見える巨大な魚体だ。尾びれは草刈りの釜に似ている。

    ホホジロザメだ。

    接近して来る。

    私はすぐに奴の前下方へと潜り込んだ。
    私の真上を通り過ぎる様に仕向け、水平以上には上昇しない様に注意をしながら前方から潜り、真上を通り過ぎる寸前に水平迄移動。奴と平行に全速力で動画を撮る。
    【相手を見つければ何もかも忘れ動画を撮るのに夢中で有った】

    見失ったら後が怖い。何時何処から攻撃して来るか分からない。私は通り過ぎた姿から決して目を離さない。

    かすかに白いホホジロの影がぼんやりと見え、こちらにめがけて反転して来るのを確認すると、私は再び下方に潜り込ながら三度同じ動作を繰り返し動画を撮り戻る事にした。

    此の三度の反転は私に取って物凄く長く感じた。

    奴の開ける半開きの巨大で強靭な顎と目には表情が全くない。まるで冷たくさえ見える透明の大きなビーダマの様だった。

    「もう此の狂気の様な輩を相手にするのはうんざりだ」

    今度は私が反転して脱出する番だ。
    もと来た順に後ずさりに近い形で急がず動揺せず、全神経で監視をしながら1m、又1mと何時現れるか分からない相手を警戒しながら網伝いに上がって行った。

    海底から徐々に浮上しつつ有る時、もし出くわしたなら、これ程怖いものは無い。
    後は長い時間を掛け、箱網伝いに次第に傾斜が浅くなる金庫網の入り口付近迄戻り、私の撮影は終了した。            

         
     見事な巨体・均整の取れた猛化ザメ、一番会いたく無い奴だ。 

    一瞬放流も考えたが、組合も3ケ月も掛かって張り終えたばかりの網を切るわけには行かないだろう。








    img007.jpg

    【定置網の図】
    網の規模・大凡、長さ80m・幅60m・深さ40m




    自然に出て行ってくれるのを待つだけだと、操業が出来なくなる。
    デカイ奴が網の中にいれば魚が警戒して入って来ないし、網の中でも食われてしまう厄介な奴だ。 

    船頭や組合長との話で、明日の朝まで待って、もしマンイーターがいたら殺処分にする事に決まった。

    外国ではケージ【檻】を使って撮影しているようだが、少なくても関東地方には無い。

    私は何故か相棒を連れて行く気にはなれなかった。

    眼の前を通り過ぎる5mの巨大なマンイーター。攻撃体制に入られる前に生還できて良かったと思う。

    今回の幸運は、限られた定置網という狭い箱網の中、ホホジロザメの行方の姿を常に捕えて居たからこそ出来た結果であった。

    奴らの体には死角はない、前下方から潜り込んで写したのが幸いしたのだろう。

    怖くなんか無いと云ったら嘘になる。

    しかし、誰かがやらなければ操業が出来ない。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    勝利の証に、猛化の巨大な顎が復元しつつあります。
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    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    波左間の海は何故安全なのか、それは我々ダイバーが潜っている範囲は総て定置網によって守られているからです。

    波左間の定置網の沖を通る魚は分かりませんが、定置網の内側に入った魚は総て道網に塞がれて、沖へ沖へと移動します。

    移動して最後の場所が巨大な袋になっていて、返しによってもと来た道に戻りにくくなっているので、出るに出られなかった魚が水揚げされます。

    従って安心安全なのです。

    波左間海中公園は、千葉県で始めてダイビングを開放された場所です。
    従って40年以上の長いダイビングの歴史があります。

    ザトウクジラ・ミンククジラ・ジンベエザメ・ウバザメ・回遊性の様々な大型のサメ達が定置網の運動場や箱網までは入ります。
    各々の時期になると定置網に入ってくる【ジンベエザメ・マンタ・マンボウ】はマンボウランドに移動させて観察が出来ます。




    近年忘れもしない出来事。
    洲崎の平田定置網で、大物を私自身の手で複雑な低層網の中から救い出し、波左間のマンボウランドで一時的とはいえ観察出来た事は幸いと思っている。 

    その名は 【 メガマウス 】
    メガマウス動画切り抜き
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    今では鴨川の水族館の展示所に、私の手元から離れて行ったメガマウスが世界で唯一の骨格標本として展示されて降ります。 
    img006.jpg



     
    12月3日に迷い込んだザトウクジラ【全長10m】も未だ、ワイワイ話題になっております。
    当日放流した事は言う迄も有りません。
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